バスラ日誌 (2006年5月14日)

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バスラ日誌 ( 5月14日 )

「 勤務雑感 「 我々は多国籍軍と同じ地域に展開しているが 、 多国籍軍の指揮下にはない 。 これは 、 日本の法的制約が 主な理由である 。 これは政府が派遣を決定する際 、 国民及び野党の理解を得るために何度も国会等で説明 しているので 、 皆さんご承知の通りであると思う 。 しかし 、 同じ作報地域に展開しているのに 、 同じ指揮 官の隷下にないということは 、 軍事的には極めて不自然なことである 。 MND ( SE ) にしてみれば 、 通常 命令すれば済むことができないという 、 非常に不都合な点があると私は認識している 。 その反面 、 我々は 隷下部隊と同様 ( それ以上の ) の要請を行い 、 それを支援してもらっている 。 それはMND ( SE ) レベル の軍事的判断というよりも 、 極めて高度な政治的判断 ( 日米英豪の4ヶ国関係 、 日本がコミットすることを 米国が重視していること 、 日本が多額の資金をイラクに提供している等々 ) のおかげであると思う 。 ただ 、 末端レベルではそのことを十分認識していない人達もいると感じる 。 英国側にしてみれば 、 なぜ指揮下に ないのかから始まって 、 どうして広報用の写真が提供できないのかという細かいところまで疑問があるよ うである 。 そのような人達の疑問に対し 、 私は日本の憲法の話 、 集団的自衛権の話 、 自衛隊の派遣に至っ た政治的経緯の話をして 、 日本隊が極めて微妙な立場にあることを理解してもらうようにしている 。 それ は決して日本隊が多国籍軍と同一視されては困るという利己的なものではなく 、 あくまで日本国内の政治 的制約であるとの認識である 。 一方 、 日本側でもそれら政治的なことを十分理解するとともに 、 MND ( SE ) から受けている支援を 認識する必要がある 。 指揮下にない部隊にもかかわらず 、 指揮下部隊以上の支援を受けていること 、 日本 隊だけで日本隊の復興支援を行うことはできないことなどがそれである 。 MND ( SE ) には彼らの作戦が ある 。 その作戦に我々はほんの少ししか貢献していない 。 それでも彼らは我々を一生懸命支援してくれる 。 その恩に少しでも報いることができるように 、 我々LOは日本隊の代表として行動しているつもりである 。

しかし 、 これはイラクにいる我々だけの問題ではないとも感じる 。 ここイラクは依然 、 普通の国ではな く 、 毎日のように戦死者がでており 、 軍隊が恒常的に軍事的作戦を遂行しているところであることを改め て関係者が理解する必要があると個人的には思っている 。

| 2 本日快晴 。 バスラ4名 、 極めて健康 。

スミッティLO日々業務報告 ( 5月14日 )

区 分 1 警戒態勢等

変化なし

Threat Level

2 特記事項

ヒドル付近で発生したIED事案 ( 5 / 11発生 ) に関して重点的に情報収集を実施

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本日の業務

( 1 ) 情報要求対応等

サマーワ市内の治安情勢 、 デモ関連情報 、 英豪軍の情勢判断 、 PJOC付近における銃撃事案関連情報 、 ヒドル付近におけるED事業関連情報等 ( 2 ) 各種業務調整等 「 明日以降の養軍支援要請関連 、

サマーワ宿営地訪問関連 ( 15日 ) 、 整備関連 、 英軍からの依頼事項質問 ) 関連等 ( 3 ) 各種ミーティング等

英豪軍作戦会議参加

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明日の予定

( 1 ) 情報要求対応等 ( 2 ) 各種業務調整等 ( 3 ) 各種ミーティング等

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その他 ( 備考 )

明日の射撃訓練 RANGE1 : 豪軍 ( 小火器 ) 0800 ~ 1800 RANGE4 : 薩軍 ( 小火器 ・ 40mm態弾 ) oa00 ~ 1800

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