バスラ日誌 (2006年6月20日)

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バスラ日誌 ( 6月20日 ) - 147号

1 昨日マリキ首相がムサンナ県の治安権限移譲について発表したことを受けて 、 日本政府は撤収を 、 正式に決定し 、 防衛庁長官から撤収命令が出た 。 この日が何時になるのか 、 あるいはまだまだ時間

を要するのか 、 つい最近まで勢の中であったが 、 2週間程前から少しずつ話が具体化してきたと 思っていたら 、 あっという間に決着してしまった 。 いよいよ最終局面に入るわけであるが 、 これま で以上に英 ・ 豪軍現地部隊及び師団司令部等との緊密な調整を要する作戦であることから 、 本隊の 最後の1人がクウェートに到達する迄 、 全力を尽くして任務に邁進したい 。

新聞報道等によると本日イラク時間午前中にも小泉首相が我々の撤収を発表する予定であるとい うことは 、 師団の主要な方々には伝達済みであった 。 また 、 師団会議において 、 日本隊の撤収を首 相が発表したこと 、 日本隊の撤収計画については今後調整していくこと 、 これまでの支援に対し心 から感謝申し上げるとともに 、 今後の作戦に対するご支援をよろしくお願いしたいということを述 べ 、 詳細は 、 隊長がバスラに来て説明する予定であることを伝えた 。 団長は 、 日本隊の活動を評 価するとともに今後必要な支援を提供する用意があることを述べられた後 、 日本語で 「 ありがと う 。 」 と言われた 。 2 吉田兼好の徒然草第109段に 「 高名の木登り 」 という話がある 。 木登りの名人が人を木に登ら

せて 、 高いところに登っているときは何も言わないでおいて 、 「 軒たけばかりになりて 、 あやまち すな 、 心して降りよ 。 」 と言葉をかけた 。 これを見ていた人が 、 なぜ飛び降りることもできる高さ になって注意するのかと聞いたところ 、 「 目くるめき桜危うきほどは 、 己が恐れ侍れば申さず 。 あ やまちは 、 安き所になりて必ず仕る事に候 」 と言ったという話である 。 小学校か中学校の時に教科 書に載っていたので知っている人も多いと思う 。 2年半の活動を通じて 、 常に緊張感をもって業務 に精励されてきた諸先輩の努力を引き継ぎ 、 最後の局面に立ったときに 、 撤収作戦を 「 安き所 」 と 思う人はいないけれども 、 本隊が最後まで無事に任務を完遂できるように 、 4人で力を合わせ 、 少 しでもお役に立てるよう努力したい 。

3 本日快晴 。 バスラ4名 、 極めて健康 。